大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和39(あ)1778 決定

主 文

本件各上告を棄却する。

理 由

弁護人家本為一の上告趣意は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、刑訴

法四〇五条の上告理由に当らない。(記録によれば、一審判決が、本件器物損壊の

被害者はAであると認定し、同人からの適法な告訴がないのに、被告人らを有罪と

したのに対し、原判決は、被害者はBであり、同人からの適法な告訴があつたこと

が認められるから、一審判決の右事実誤認は、犯罪の成否に影響を及ぼさない事項

に属するとして、被告人らの控訴を棄却したことが認められる。しかし、一審判決

の認定した事実を基礎とすれば、本件は訴訟条件を欠き、公訴棄却の裁判がなされ

るべき場合であつたのであるから、これを目して犯罪の成否に影響を及ぼさない事

実誤認として、そのまま控訴を棄却した原審の処置は、相当でなかつたといわなけ

ればならない。しかしながら、原審の認定するところによれば、本件被害者はBで

あり、また、その認定を肯認するに足りる証拠も存在する。そうだとすれば、訴訟

条件も完備しているのであるから、原判決の前記判断のあやまりも、未だ判決に影

響を及ぼすべき法令違反とはいいえない。)

よつて、同四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主文

のとおり決定する。

昭和四〇年一二月一四日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 田 中 二 郎

裁判官 五 鬼 上 堅 磐

裁判官 横 田 正 俊

裁判官 柏 原 語 六

- 1 -

裁判官 下 村 三 郎

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!